決め手が複数ある終盤戦
相手の三間飛車に対してショーダンシステムを採用して迎えた第1図。
既に詰みがチラチラ見えてくる終盤戦だが、相手の5七銀の削りに対して、めちゃくちゃ面白いカウンターがある。
正解手が複数あるので次の一手ではなくてもOKだが、次の一手を深掘りしていきたい。
第1図以下、6一銀、と進む
今回の記事では、この6一銀が詰めらさろであること、そもそも詰めらさろとはなんなのかを解説していく。
「詰めらさろ」とは
詰めらさろとは
読者の大半は「詰めろ」ならわかると思う。
一応意味を確認すると「次手番が来たらあなたの玉を詰ましますよ〜という手」のこと。
詰めろの中でも解除が不可能で受けがないものを「必至(必死)」と言う。
「詰めらさろ」とは「詰めろではないんだけど、相手が特定の駒を渡してくれたら、自動的に詰めろに昇格する手」のこと。
したがって包含関係としては上の図のようになる。
なぜ詰めら「さろ」なのか
意味はわかったけどなんで「さろ」とか変な語尾なの?という読者もおられよう。
道民ならわかる表現として「押ささる」「食べらさる」のような「〜さる」という方言がある。
簡単に説明すると、「自分の意思とは関係なくそうなってしまった」のような意味合いだ。
詳しくは以下のリンク先の記事がおすすめ。
https://note.com/miyuppe_yoon/n/n9325201d0949
話を戻して、「詰めろ」の元の言葉は「詰める」だと推察されるので、「詰める」の「〜さる」活用でまず「詰めらさる」になる。
次に「詰める」が「詰めろ」と母音が「お」になるように変化することから、次の手番で「詰めらさる」手のことは「詰めらさろ」と言える。
詰めらさろの確認
では早速6一銀が「詰めろではないんだけど、相手が特定の駒を渡してくれたら、自動的に詰めろに昇格する手」、概して「詰めらさろ」なのかを見ていく。
まず相手は5七銀と削りにきた以上、4八銀成のように攻めていかなければ、指し手に一貫性がなく変調である。
4八銀成以下、5七金のように再び削りに絡んできた時の即詰みの変化は下の記事で触れることにする。
上の記事の通り、こちらは銀を一枚もらえれば相手玉は詰めろになるので、6一銀は詰めらさろであることが確認できた。
変調の兆し
相手は攻めようと踏み込むと返り討ちにあうので、かなり変調だがしばらく受けに回るしかない。
第2図からの受け方は大きく次の5通りである。
- 6二金寄
- 6二金引
- 4八銀成同金の交換を入れてから6二金寄
- 4八銀成同金の交換を入れてから6二金引
- 4八銀成同金の交換を入れてから6二金打
3や4はこちら玉に即詰みがなく、ただ銀が一枚増えた1や2なので、1と2で詰みや寄せがあれば、それはそのまま3や4にも当てはめることができる。
したがって…
- 6二金寄
- 6二金引
- 4八銀成同金の交換を入れてから6二金打
実際はこの3パターンを深掘りしていけば十分である。
だいぶ長くなってしまうので、それらについては別の記事で解説していくことにする。
この後の変化にも詰めらさろが出てくるので、ぜひ楽しんで欲しい。
注:別の記事は執筆中です。出来次第ここに貼り付けます。
攻めでもあり受けでもある詰めらさろ
とりあえず今回の記事では、詰めろではない6一銀が、「4八銀成、同金、5七金」のような金駒を渡す攻めを相手がしてきた際に、詰めろに昇格していることが一番お伝えしたいことだった。
よくある言葉で攻防手と言っても良いのだが、詰めろかどうかに着目して「詰めらさろ」という切り取り方をしてみた。
漫画で例えれば「あしたのジョー」に出てくるクロスカウンターが一番概念として近いかもしれない。
実戦で現れたら積極的に紹介していこうと思う。
では。
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